休日オウチプロジェクト

古民家セルフリノベと映画を主に。その他日々のあれこれ。

【古民家セルフリノベ】古い空き家を買うまで(後編)

前編はこちら。

housenumber-24.hatenablog.com

 

 

わたしたちが現在住んでいる場所は、便利な場所ではあるが、車無しでの生活は難しい。スーパーやドラッグストア、コンビニはすぐに行けるが、通勤やそのほかの買い物は車がないと無理なので、一人一台は車を持っている人が多い。我が家もファミリーカーと軽自動車の2台持ちだ。

そこで浮上してくるのが、駐車場問題

この激安空き家の敷地に車は入れない。あの古いコンクリート階段のせいだ。近くに駐車場があるので借りてしまえば良いが、敷地内に止めれるに越したことはない。それにセルフリノベーションにも車は必要になるに違いなかった。何か方法はないかと悩んでいるとき不動産営業のNさんから助言をいただいた。

「市に相談してみれば、もしかする階段をスロープ状にするなどの許可が貰えるかもしれませんよ」

この助言に、道路のような公共物を自分たちの意志で変更できるなどといった発想がなかった私たちは非常に驚いた。

市役所に行ってみることにした。

 

①道路の所有者の確認

営業Nさんからいただいた「公図」と「登記簿」から、松江市が所有者であることが確認できた。

 

②市役所で①の確認

念のため市役所で住所や地図から、所有者が松江市であることを確かめてもらう。すると、市道でも赤道でもなく「2項道路に指定された松江市所有の土地」であることが分かった。個人所有の私道ではなかったので一安心。(ネットで前面道路が私道だった場合のトラブルを見て戦慄していた。)さらに2項道路に指定されていたため、土地が再建築可能であることも分かり安心。

 

③道路の形状を変更可能かどうか聞く

適切な方法はわからないが、車を入れるために階段をスロープ状にしたいと熱く伝えたところ、優しそうな職員から、交通量の多い場所でなければモルタルで埋めてしまったらよいだろうと教えてもらえた。周辺住民さえよければ松江市的には問題ないらしい。階段の先にあるのは3件の空き家。その内の一つが売りに出されているため使用するのは私たちだけのようだ。(実際に変更する場合は、市役所を通して空き家の持ち主に連絡を取る予定。)

あとは文字のいっぱい書いた許可申請書や資料を提出すれば、すんなり許可はもらえそうな雰囲気だった。やった。

 

階段問題に光がみえてきたが、敷地に車を止めるにはもう一つ問題があった。

それは、車を止めるためのスペースの確保

敷地は広いものの、離れや木があるため、それらを何とか撤去する必要があった。

離れの解体で出るゴミを運ぶために、できるだけ車を近づけたい。しかし周辺の道はとても狭い。

しかも袋小路のため行きは良いが、帰りはバックで進む必要がある。

やってみなければ分からないので、とりあえず一度車で行ってみようということになった。

 

当日

完璧にイメトレをしてきたという運転手のパートナー。愛車の7人乗り10年物のファミリーカーで出発する。近づくにつれ道も細くなる。道が狭いうえに草が道路にはみ出しているため、車についている安全機能のアラーム音が鳴る。車体から一定距離まで障害物が近づくとアラームが鳴る仕組みだ。ゆっくり運転し、無事階段下の袋小路へ到着した。

問題はここからだった。

バックで少し下がると、とある建物の横に切り替えしのできそうなスペースがある。そこを使う作戦だったが中々うまくいかない。しばらく格闘していると車のアラーム音に気付いた男性と女性が家からでてきた。

「大丈夫?」心配そうに声を掛けてくれ、敷地に置いてあるコーンをどかして切り替えしやすくしてくれる。おまけに、「見られていたら緊張するだろうから中に入っておくね」という気づかいまでしていただき、お2人の背中には後光が見えた。焦りながらもおかげでなんとか脱出できた。

 

帰宅

随分あのご夫婦に迷惑をかけてしまったなと反省し、お詫びに行こうと計画していた。

しかし気になるのはご夫婦がでてきた建物。家というにはおしゃれな雰囲気で、お客さんらしき人も訪ねてきていたがお店という感じでもなかった。そこでgooglemapやネットで調べてみる。なんと建築事務所であることが判明した。

ちょうど古家のホームインスペクションを悩んでいたこともあり、相談してみることにした。

 

電話で約束をし、後日菓子折り(お詫び用)を持って会いに行く。

先日の迷惑を謝った後、やろうとしていることを伝えた。

残念ながらホームインスペクションはやっていなかったのだが、お話していくうちにちょっとしたアドバイスならできるかもしれないから今から見に行ってみようかということになった!

 

お2人は私たちが恐る恐る入っていった場所にも、怖くて入れなかった草むらも掻き分けてどんどん入っていく。

あっけにとられているうちに、中から外からの観察が終わった。

沢山のアドバイスをいただいたが、「木造って実はどうとでもなる」という言葉が強烈に印象深く残っている。プロフェッショナルなお2人の言葉を聞いていると何とかなるんじゃないかな、と自然に思えてくるから不思議だった。

「もし空き家を購入したら、近所なので困ったときは相談にきてください。」という途轍もなく心強い言葉をかけていただき、最後まで感謝の念しかない。

沢山お礼を言いながらお別れした。

 

この出会いをきっかけにわたしたちの空き家購入は前向きに検討されていくことになる。

とはいっても蓋を開けてみるまで分からないのが古家であるため、最悪の場合を想定した。何度も話しあい、それでもやっぱりやってみたいという気持ちが強かったため、営業Nさんに購入希望の連絡をしたのだった。

 

最後に、

この計画が動き始めてから、沢山の人に応援の言葉をかけてもらっている。

全部大事にしてなんとか成功させたいものだ。

あまり気負わず楽にやっていくのがモットーでもあるため、休日を楽しみながら進めていこう。